2023年5月3日 東京新聞(全15段)で掲載しました。【1人1票実現で、国会議員主権国家から、国民主権国家へ】
(教えて0.6票君!)
・ 国会議員主権国家という用語を初めて聞きました。一体どういう意味なのでしょうか?
⇒ 現在の日本は、議員1人が代表する国民の数に、概ね、衆院選(小選挙区)で2倍、参院選(選挙区)で3倍の人口差が生じています。つまり、現在の日本は人口比例選挙ではありません。
非人口比例選挙では、国民の多数が国会議員の多数を選ぶ保障がありません。
その結果、国民の多数の意思とは無関係に、(国民の少数から選ばれた)国会議員の多数が国政を決定しています。主権を有する国民の多数に、国政の決定権がありません。主権を有する国民の少数から選ばれた、主権を有しない国会議員が、主権を有する国民の多数の意思とは無関係に、国会議員の多数決で国政を決める今の日本は、国民主権国家ではなく、国会議員主権国家であると言えます(図参照)。
・ 参議院選挙と衆議院選挙で、憲法の投票価値の平等の要請に優劣はあるのですか?
⇒ 【投票価値の平等の要請は衆参で差異はありません】
平成24年大法廷判決(参)は、 「さきに述べたような憲法の趣旨、参議院の役割等に照らすと、参議院は衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであり、参議院議員の選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。」(民集66-10-3368)(強調 引用者)と述べ、投票価値の平等の要請は衆参で差異がないと判示しています。
それに続く各大法廷判決(参)も、「参議院議員の選挙であること自体から直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い」旨判示しています。
・ 参議院で抜本的改革案として議論されている11ブロック案とは?
⇒ 平成26年以降各会派が示している改革具体案は、隣同士の府県を合わせて1選挙区とする「合区」と全国を11ブロックに分ける「11ブロック制」の2案です。
合区への反対が根強く、また、11ブロック制は現在衆院比例区で採用されていているなど、国会議員にとっても馴染みがある制度であることから、実行可能な改革案として採り得る選択肢は、公明党、維新、社民党などが提示している11ブロック制が考えられます。公明党案では1票の最大格差は1.13倍となります(図参照)。
【主権行使の実感と投票率】
(PDF読み込みにお時間がかかります。)