今回は、全選挙区(全国47選挙区)が裁判の対象となっています。従って、この裁判は、『約1億400万人の全有権者』が当事者になっている裁判と言えます。
世論をより一層盛り上げ、一人一票判決を確実なものとするためにも、引き続きサポーター活動に参加しましょう!
平成24年最高裁大法廷判決は、これまで、一票の格差は衆院選で3倍未満(=”清き0.5票”)、参院選で6倍未満(=”清き0.2票”)までなら許されるとする、事実上一部で理解されてきた基準につき、「投票価値の平等の要請」の点では、『参院選の選挙権は、衆院選の選挙権と同じである』と判断しました(当国民会議HP:http://www.ippyo.org/topics/2012113001.html 参照)。
同判決は、『参院選の1票の価値は、参院の独自性を理由に、衆院選の1票の価値より「1票の格差」が大きくて当然である』としてきた、過去30余年間続いた通説を否定する「歴史的判決」です。同判決で、参院選の“清き0.2票”は、少なくとも、“清き0.5票”まで、一気に変わりました。
また、同判決は、「より適切な民意の反映が可能となるよう、都道府県単位の選挙区割りを現行の方式をしかるべき形であらためるべき」旨述べ、都道府県単位にこだわらない区割り方法についての具体的な意見も示しました。
「衆議院議員定数訴訟最高裁大法廷判決の解説と全文」と題する論文(ジュリストNo.1428。2011.9.1 56〜62頁)−岩井伸晃・最高裁判所調査官、小林宏司・最高裁判所調査官執筆−は、
「 そして,本件選挙時における前記の較差が,既に合理性の失われた1人別枠方式を主要な要因として生じたものである以上,当該時点における本件選挙区割りは憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたとの評価を免れないとされたものである。本件選挙時よりも較差自体の数値は大きかった過去の選挙について,平成11年最高裁判決@(選挙直近の国勢調査に基づく最大較差2.309倍)及び平成13年最高裁判決(選挙時の選挙人数に基づく最大較差2.471倍)は,当時の選挙区割りが憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていないとしているが,その各時点では,なお1人別枠方式が前記の合理性を維持していたものと考えられるから,これらの先例と今回の判断とは整合的に理解することができるものといえよう4)。」(同書60頁本文右欄下11行〜61頁本文左欄6行)、
4)「 従来の最高裁判例において合憲性の判定における較差の数値に係る量的な基準が示されたことはなく,本判決においても,この点は同様であり,憲法の投票価値の平等の要求の制約となる要素として国会において考慮された事情にその制約を正当化し得る合理性があるか否かという質的な観点が問題とされ,1人別枠方式についてはその合理性に時間的限界がありこれによる較差を正当化し得る合理性は既に失われたと判断されたものであって,単純に較差の数値のみから直ちに合憲・違憲の結論が導かれるものではないと解される(本判決は,区画審設置法3条1項所定の区割基準につき,「投票価値の平等に配慮した合理的な基準を定めたものということができる」と判示しているが,これが最大較差2倍という数値を画一的に量的な基準とする趣旨のものでないことも,その前後の説示の内容等から明らかであるといえよう)。」(強調 引用者)
と記述します。
岩井伸晃・最高裁判所調査官、小林宏司・最高裁判所調査官は、あくまでも、「投票価値の平等」(即ち、「人口比例選挙」)が、基準であって、もし仮に、「投票価値の平等」(即ち、「人口比例選挙」)からの乖離がある場合は、『その「投票価値の平等」(即ち、「人口比例選挙」)からの乖離を正当化し得る合理性があることが、必要である』と解しており、この点において、米国連邦最高裁判決(Karcher v. Daggett, 462 U.S. 725 1983年)の『尋常ならざる厳格さを持つ『実務上可能な限り』の基準』と同一です。
そして、合理性の立証責任の分配の論点については、 2013年3月に、 ①福岡高裁(西謙二裁判長)、②東京高裁(難波孝一裁判長)が、『人口比例選挙からの乖離を生ぜしめた、立法裁量権の行使に合理性があることの『立証責任』は、国にある』旨明言する歴史的判決を下しています。
即ち、これらの高裁判決は、『立証責任』の分配の論点で、1983年米国連邦最高裁判決と既に同一です。
最高裁は、平成23年最高裁大法廷判決で、衆院選挙において、「一人別枠方式の廃止(の上での人口比例選挙)」を要請する違憲状態判決を下し、平成24年最高裁大法廷判決で、参院選挙において、「衆参の選挙権の価値の同価・都道府県単位にこだわらない選挙区割り」を要請する違憲状態判決を下しました。
最高裁は、当該2つの最高裁判決で、(1)一人別枠方式の廃止(の上での人口比例選挙) → (2)衆参の選挙権の価値は同じ → (3) 都道府県単位にこだわらない選挙区割り、の3要素を要請しています。
そうなると、その延長戦上にある最高裁判決は、1人1票の最高裁判決しかありません。
福岡高裁では、既に、参院選挙で「一人一票」判決がでています(福岡高判H23.1.28/判タ1346-130)。
「4増4減」は、H24年最高裁判決の、
今回の衆院選は、最高裁が違憲状態と判決した選挙区割りのまま行われました。これは、サッカーの試合で言えば、選手がレッドカードを受けたまま、ルールを無視して、試合を続行しているようなものです。
しかし、サッカーの試合はあくまでも例え話であって、実際は、日本の国家権力の行使の正当性に関わる最重要問題です。
日本では、現在、日々、国家権力が、「違憲状態」国会議員(但し、衆院小選挙区選出国会議員)、「違憲状態」国会議員(但し、参院選挙区選出国会議員)の多数決によって行使されています。
このような、国家レベルの異常事態は、国家機関たる司法が、国家レベルで緊急対応して、正さなければなりません。
公職選挙法213条1項、2項(”100日裁判ルール”の規定)は、『裁判所(上告審を含む)が、選挙無効の確定判決を選挙無効訴訟の提訴後100日以内(即ち、速やかに)に下すよう努力して、「違憲状態」国会議員(即ち、「レッドカード」のプレーヤー)を国会(即ち、試合のピッチ)から排除すること』を要求しています。
なぜなら、権力の行使(立法、内閣総理大臣の指名等)は、憲法に基づいて「正当に選挙された国会における代表者」によらなければならないからです。
今回も、100日裁判ルールに従い、最高裁判決までが100日以内に下されるべきと考えます。
裁判所 |
弁論期日
(2013/H25年) |
判決期日
(2013/H25年) |
判決文 |
札幌高裁2号
(802号法廷) |
9月9日(月)
11:00 - |
12月6日(金)
13:30 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
福岡高裁 那覇支部 |
9月11日(水)
14:00 - |
12月17日(火)
14:00 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
福岡高裁 宮崎支部 |
9月11日(水)
15:00 - |
12月20日(金)
15:00 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
広島高裁 岡山支部2部
(201号法廷) |
9月12日(木)
14:00 - |
11月28日(木)
10:00 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
福岡高裁5民
(505号法廷) |
9月13日(金)
14:00 - |
12月19日(木)
10:00 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
名古屋高裁 金沢支部
(201号法廷) |
9月17日(火)
14:00 - |
12月16日(月)
14:00 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
大阪高裁3民
(84号法廷) |
9月18日(水)
10:00 - |
12月18日(水)
15:00 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
広島高裁4民
(202号法廷) |
9月19日(木)
11:00 - |
12月5日(木)
11:30 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
仙台高裁3民
(402号法廷) |
9月20日(金)
13:30 - |
12月20日(金)
13:30 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
高松高裁2民
(2号法廷) |
9月20日(金)
15:30 - |
12月16日(月)
13:10 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
仙台高裁 秋田支部
(2号法廷) |
9月25日(水)
11:15 - |
12月26日(木)
13:30 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
名古屋高裁2民
(1001号法廷) |
9月25日(水)
13:10 - |
12月18日(水)
16:00 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
広島高裁 松江支部
(32号法廷) |
9月26日(木)
13:10 - |
12月25日(水)
10:00 - |
(全文) (要旨) (骨子) |
東京高裁4号
(101号法廷) |
9月27日(金)
13:30 - |
12月20日(金)
14:00 - |
(全文) (要旨) (骨子) |